日日是10年。おもひで手帖

夫との日々を「イラスト」で、旅先の美味しい出会いや手料理を「写真」で綴る、暮らしの記録帖。14年住んだ仙台から札幌を拠点に。(2016.2開設)

タグ:旧青山別邸

小樽の歴史的名所・小樽貴賓館(旧青山別邸)へ。季節限定のあじさいフロートを頂きつつ、立派な庭園を一望。職人の技が息づく館内の魅力と青山家の歴史を紐解きます。小樽貴賓館と青山家の歴史小樽貴賓館(おたるきひんかん)を訪れました。『ゴールデンカムイ』の舞台のモ ...
続きを読む
IMG_7758

小樽の歴史的名所・小樽貴賓館(旧青山別邸)へ。季節限定のあじさいフロートを頂きつつ、立派な庭園を一望。職人の技が息づく館内の魅力と青山家の歴史を紐解きます。

小樽貴賓館と青山家の歴史


小樽貴賓館(おたるきひんかん)を訪れました。

『ゴールデンカムイ』の舞台のモデルにもなっています。

IMG_9868

広い敷地のお屋敷です。

IMG_9867

小樽貴賓館(旧青山別邸)は、明治から大正期にかけてニシン漁で巨万の富を築き
ニシン大名と呼ばれた青山家の別荘です。

当時の最高級資材、一流の職人技術で建てられたこの木造建築は、
国の登録有形文化財にも指定されています。

IMG_9811

青山家はもともと山形県遊佐町の出身でした。

初代・青山 留吉(とめきち)が北海道(小樽・祝津)へ渡り、ニシン漁の礎を築き
2代目・政吉が事業を広げ、青山家の全盛期を作り上げました。

そうして、故郷の遊佐町に建てたのが、現在国の重要文化財になっている「旧青山本邸」です。

IMG_9816

別邸は 3代目・政恵(政吉の娘)が17歳の時に「本間邸のような豪邸を小樽に建てたい!」と提案し
大正時代に、6年半の歳月と巨額の費用をかけて建てられた別荘です。

当時、日本一の大地主として全国にその名を轟かせていたのが、酒田(山形)の「本間家」でした。

本間邸の圧倒的な建築美と風雅さに強い感銘を受けた政恵は
父・政吉の資金力をバックに「旧青山別邸」を作り上げました。

IMG_9820

現在の価格に換算すると、総工費は30億円とも言われています。ふぉぉ…

IMG_9821

「開運の釜」


「福と繁栄をもたらした開運の釜」として、庭の一角に祀られています。

当時、大量に獲れたニシンを茹で上げるために使われていたのがこの鰊釜(にしんがま)

IMG_9824

ちなみに、ニシン漁が圧倒的に盛んだった理由は「肥料(高級な肥料)」としての爆発的な需要でした。

大量のニシンは、油を搾ったあと乾燥させ「締めかす(鰊粕)」にされました。

「捨てるところがない」と言われるほど、ニシンは油もカスもすべてが金のなる木だったのです。


大きな釜で釣りをする恵比寿様

IMG_9825

右も左も正面も、古く立派な建築に圧倒されます。

IMG_9829

鬼瓦と懸魚

旧青山別邸の飾り瓦(鬼瓦)は七福神がモチーフになっています。

頭に頭巾、右手に打ち出の小槌、米俵に乗った大黒様

IMG_9862

こちらは、鯛を持った恵比寿様

IMG_9864

「福をもたらす二大福神」としてセットで祀られることが多い大黒様と恵比寿様

客用玄関(大玄関):「大黒様」
家族用玄関(脇玄関):「恵比寿様」

訪れる客には豊かな財と福を(大黒)、家には大漁と繁栄を(恵比寿)という
粋なこだわりと縁起かつぎの意図が込められています。


屋根の三角の部分には仙人?が描かれています。

「懸魚(げぎょ)」と呼ばれるパーツです。

「魚を懸ける(吊るす)」と書き、木造建築を火から守るため「水に縁のある魚」を模した飾りを屋根に掲げたのが始まりだそう。


鬼瓦ギャラリー

IMG_9823

鬼瓦(おにがわら)

中国から伝わった当時は蓮の花などの模様でしたが、日本で災いを払う力強い「鬼」の形に変化しました。必ずしも鬼の顔をしているわけではありません。

場所:屋根の一番高い場所や棟の端っこの瓦。
目的:「魔除け」「雨漏り防止」

懸魚(げぎょ)

場所:屋根の三角になっている部分(破風板の下)に吊り下げられている木製の飾り。
目的:「火除け(祈願)」

鬼瓦は「屋根の上の魔除け」
懸魚は「屋根の下(破風)の火除けの魚」と覚えておくと分かりやすいですね♪

喫茶でひと休み

「小樽貴賓館」の施設内は、お食事処やお土産店があるエリア(本館)と
有料で見学できる「旧青山別邸」エリアに分かれています。

IMG_9834

コミック「花より男子」の舞台にもなっているそうです。

IMG_9837

落ち着いた、シックな雰囲気の喫茶室です。

IMG_9839
IMG_9840

コーヒーフロート 850円

IMG_9842

青のあじさいクリームソーダ 800円

IMG_9845

シュワシュワ。゚○°。○( ・ω・ )◯。°○゚。‬

窓から広々としてお庭が見渡せます。

IMG_9836

大広間の大天井、大迫力の百花繚乱の天井絵!

IMG_9849

職人の技と贅が詰まったお屋敷というのが、この大天井からヒシヒシと伝わってきます。


いよいよ入館…(まだ入ってなかった)

小樽貴賓館 入場料: 1300円

IMG_9851

館内は撮影禁止🚫ですが、庭園は撮影OK。

 龍神のアカマツ

格式高い枯山水庭園に、樹齢100年を超える赤松。

天から地に舞い降りる「降り龍(地上の守り神)」のような枝ぶりです。

The パワースポット♡

IMG_9852

2階から。

分かりますかね?松の下の幹がグッと右にうねっています。

IMG_9858

窓からは日本海が見えます。

こうして、政恵さんも眺めていたのでしょうね。

IMG_9859

旧青山別邸のみどころ

酒田の本間邸に魅せられた17歳の政恵の情熱によって建てられた小樽の別邸。

政恵は全国から一流の職人や画家を呼び寄せて、
木材の選定からデザインに至るまで、自ら陣頭指揮を執りました。

跡取り愛娘の熱意を全面的に買い、建築の全権と資金を委ねた溺愛パパ、当主・政吉(当時46歳)

政恵のセンスと美意識、職人のこだわりが、館内の至る所に宿った美術建築となりました。


(写真撮影NGだったため、文章のみですみません)

❉ 職人技が光る「建築細工・調度品」

一本の木から裏表異なるデザインを彫り出した欄間や、入手困難な高級木材を使用した柱や天井。

釘を使わない組子技術や、鏡のように艷めく漆塗りなど、職人の手仕事!

❉ 一流の競演「襖絵・壁画・天井画」

当時の一流絵師や書家が邸宅に滞在し、部屋ごとに異なる趣で描き上げた作品群!!


ニシン漁の歴史や華やかな文化交流、そして美しい庭園に至るまで
青山家の贅とプライドが惜しみなく体現されています。


究極の推し部屋?

政恵さんの芸術への造詣の深さを感じつつ、私は少しうがった見方をしてしまいました。

当時の有名絵師や書家は、現代の大人気アイドルや、超大物アーティストみたいな存在だったろうと。

推しのアーティストたちを自宅に招き、何ヶ月も滞在させ、お金に糸目を付けず
自分の目の前で作品(襖絵や天井画)を描かせたわけですから……

お嬢様の究極の「推し活」であり、豪華絢爛な襖絵や彫刻が並ぶ空間は
少女の夢の詰まった、最強の「推しグッズコレクション部屋」 だったのかも…と。

政吉パパにとっても、青山家の権威を示すという意味で、目的は合致していたのでしょう。


大正12年(1923年)、6年半の歳月をかけ、 政恵23歳のときに建物は完成しました。

…100年以上経った今「素晴らしい文化財」として鑑賞するのも良いですが、ふと現代に置き換えて
「政恵お嬢様の贅沢な推し活だったのでは?」と考えると、また違った面白さが見えました。

ニシン漁の栄華と衰退

▽ 「開拓の村」でもニシン漁が盛んだった様子が伝わりました(2026.6)


各地の網元たちは、それぞれに続々とニシン御殿を建てたそうです。 

ニシン漁の衰退とともに維持が困難になった別邸は、その価値に惚れ込んだ佐藤美智夫氏が買い取り
1989年(平成元年)に「小樽貴賓館」としてオープン。歴史を引き継ぎ、こうして大切に維持・公開しています。

ニシン漁衰退の原因は「乱獲」

資源保護の概念がなかった当時、ニシンは無限の資源のように思われていたそうです。


ニシン漁の繁栄と衰退のストーリーを知ると「昔のお金持ちの豪邸」というだけでなく
時代の栄華の波と、淡い儚さも感じました。

長々お付き合い頂きありがとうございます。

----------------------------------------
▽ クリックして頂けますと嬉しいです♪
 にほんブログ村 イラストブログ イラストエッセイへインスタ03